ウェブで求める人材を獲得①~2024年度求人市場の動向
近年の採用市場において、採用難を耳にしたことはありませんか?
コロナ後の経済の活発化や少子高齢化による労働人口減少などの要因から、ますます人材を獲得するのは難しくなってきています。
そんな中、コロナ禍から影響を受けたオンライン採用活動は、企業・求職者ともに定着しつつあり、それらを活用することで採用を成功させる企業もあります。
ウェブを使って求める人材を獲得するためには、どうしたらいいのでしょうか?
ではまずは、採用活動を効果的に行うために、現在の採用市場の動向について見ていきましょう。
自社の採用活動に役立てられるヒントがあるかもしれません。
1.採用活動を効果的・効率的に行うために~まずは求人市場の動向を知る
2024年度の最新の求人市場の動向についてみてみましょう。
まずは新卒採用・中途採用の市場について、それぞれ詳しく解説します。
1-1.2024年新卒採用
下記は2024年卒の新卒採用計画に対して、「採用予定人数に充足したか」を調査した企業へのアンケート結果です。
採用計画に対して「充足」と回答した企業は36.1%、未充足と回答した企業は62.5%でした。
前年に続き最低値を更新し、企業側の人手不足感は最高水準、厳しい状況であることがわかります。
採用数が計画より少ない理由
ではなぜ採用数が計画より少なかったのでしょうか?
その理由として挙げられた中で最も多かった回答が「選考応募者が予定より少なかった」で66.2%でした。
前年と比較すると14.5ポイントも増えています。
前年の回答数第一位であった「内定辞退が予定より多かった」と回答した企業は、比べると今年は少なくなっています。
2024年卒採用においてはそもそも「母集団(エントリー数)の不足」=求人に人が応募してこないことが課題になっていたことがわかるのではないでしょうか。
1-2.中途市場
中途採用市場においては、厚生労働省が発表している一般職業紹介状況(公共職業安定所(ハローワーク))における求人状況の、2024年5月時点での有効求人倍率について確認していきましょう。
2024年5月の時点での有効求人倍率(有効期限内(2か月間)の求人数/求職者数)は1.24倍、新規求人倍率(当月のみの求人数/求職者数)は2.16倍となっています。
中途採用市場においても引き続き売り手市場が続いていることがわかります。
中途採用:必要な人数の確保状況
企業における中途採用人員の確保状況について、2023年度下半期は必要な人数を「確保できた」と回答した企業は45.5%、「確保できなかった」と回答した企業は53.2%でした。
確保できたと回答した企業割合は、比較可能な2013年度下半期以降、最も低い値になっています。
1-3.2023年の「人手不足倒産」が過去最多に
2023年は人手不足による倒産も過去最多の260件が発生しています。
また、2024年の企業経営課題として「人手不足」と回答した企業は40.5%で、全項目の中でも2番目に高い数値です。
さらに、前年からの上昇幅は全項目の中で最も高いです。
このように、現在企業の人手不足感と採用難は最高水準に至っているものと考えられます。
2.業種や地域、世代別に採用動向を知る
新卒採用市場、中途採用市場それぞれの動向についてご紹介してきました。
では、業種や地域別などのカテゴリではどのような状況なのでしょう。
- 業種・職種別
- 地域別
- 世代別
- 転職潜在者層
これらについて詳しく解説します。
2-1.業種・職種別の採用動向
厚生労働省が発表した職種別の有効求人倍率は、
- 営業、接客・給仕、飲食、介護サービス、建築・土木関連、運輸業などは2倍以上
- 一般事務は0.31倍と低い
ことがわかります。
これらの業種、「営業、接客・給仕、飲食、介護サービス、建築・土木関連、運輸業」においては、採用難を強くお感じの方も多いのではないでしょうか。
2-2.地域別の採用動向
都道府県・地域別有効求人倍率では、東京は1.12倍、大阪は1.02倍となっています。
しかし北関東・甲信、北陸、中国が1.5倍前後と都市部より高く、採用しにくい状況であることがわかります。
2-3.世代別の求職者動向
20代~40代までの世代別でも求職者の動向を確認してみましょう。
まずそもそもの転職率の推移を見てみます。2023年の転職率は7.5%で過去最高数値の2022年と同等の高い水準になっています。
人材の流動化が活発になっているものと考えられるでしょう。
これらの転職者の年代構成比を見てみますと、20代と30代がそれぞれ3分の1程度含まれています。
では具体的に、それぞれの世代での転職理由は何なのでしょうか?
採用活動をする際には、ターゲットとなる年代の転職理由をヒントにすることで、より効果的に求職者にアピールできるかもしれません。
詳しくみていきましょう。
20代の転職理由
2023年に転職した20代の転職理由でもっとも多かったのは「仕事内容に不満があった」、次いで「給与が低かった」「休日や残業時間などの待遇に不満があった」が続いています。
全体と比べると「休日や残業時間などの待遇に不満があった」という回答が若干高く、私生活やワークライフバランスを重視したいニーズが他の年代よりも高い可能性があります。
30代の転職理由
30代の転職理由でもっとも多かったのは「給与が低かった」、次いで「会社の将来性、安定性に不安があった」「仕事内容に不満があった」が続きました。
全体と比べると30代は「給与が低かった」が高い傾向にあります。
30代になり配偶者や扶養家族ができるなどの生活環境の変化によって、給与の重要性が高まったのではないかと考えられます。
40代の転職理由
40代の転職理由でもっとも多かったのは「仕事内容に不満があった」で、次いで「給与が低かった」「会社の将来性、安定性に不安があった」が続いています。
全体と比べると「身に付けたスキルを活かす仕事がしたかった」という回答が高い傾向にあります。
経験を活かして仕事内容を異なるものにしたいと考えて転職した人が多かったのではないかと考えられます。
採用活動においてはこれらを鑑みた情報で求職者にアピールすることで、応募意欲を向上できるかもしれません。
2-4.「条件が合えば」の転職潜在者層
人材は、すでに転職希望が顕在化し転職活動を行っている求職者だけではありません。
「条件が合えば転職したい」と考える、転職潜在者層へのアプローチも今後検討材料になっていくでしょう。
転職潜在者層である非正規雇用労働者の動向については、「正規の職員・従業員の仕事がないから非正規雇用を選択している」という回答は一貫して減少しています。
ですが、一方で「自分の都合の良い時間帯に働きたい」「家庭と両立しやすい」など、自身の都合により非正規雇用を選択する労働者が増加傾向にあります。
自社の職場環境の整備により、こういった意向を持つ労働者を採用ターゲットとできる可能性があります。
また、転職顕在者層の転職活動はしたが転職しなかった理由として最も多かったのは「転職活動をする時間がない」でした。
これも、転職希望者の負担を軽減する施策を行うことで、自社をアピールできる可能性があります。
たとえば、求職者へは素早く返信を行うようにする、面談などの日程調整は求職者の都合に合わせて迅速に対応する、などが考えられます。
3.まとめ
2024年度最新の採用市場についてご紹介してまいりました。
経済の活発化による求人数の上昇、少子高齢化による労働人口の減少により、新卒・中途採用ともに引き続き売り手市場が続いています。
企業が求める人材を獲得するためには、これらますます激化する採用市場の中で採用活動を行っていかなければなりません。
では、より有利に採用活動を行うにはどうしたらよいのでしょうか?
次記事では採用活動について、ウェブを活用した採用活動、とりわけホームページの重要性とホームページに掲載する具体的な求人情報の書き方などをご紹介してまいります。
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