CVR(コンバージョン率)とは②~CVRの目安~

ホームページを改善する際に目安となる「CVR」について、前記事では基礎知識から計算方法までご紹介しました。

前記事:CVR(コンバージョン率)とは①~CVRの基礎知識~

今回は、CVRが何かということが分かったところで、では実際にどのように設定するのか、また平均値や目安について解説してまいります。

1.正しく定義するために決めるべきこと

CVRを正しく定義するには、コンバージョンを明確にするのが大前提です。

その上で、どこからどこまでの期間を計測するのか決め、データを抽出していく必要があります。
また、CVRについての情報共有をチーム内で行っていくことも大切です。

では、それぞれの重要なポイントについて詳しく見ていきましょう。

1-1.運営目的に応じて何をコンバージョンとするか明確にする

ホームページやECサイトがどのような目的で運営しているのかによって、コンバージョンが変わります。

例えば、ECサイトなら商品・サービスの購入がコンバージョンになるでしょう。
商品・サービス購入の他にも、資料請求やお問い合わせ数、会員登録やメルマガの購読申込数もコンバージョンになります。

ただし、サイト内で成約に関わる2つ以上の選択肢があった場合、コンバージョンとしてはどちらも含んだ内容をコンバージョンとするか、そうではないかの明確化が必要です。

例えば、ホームページ作成サービスにおいても、全てのプランを含んだコンバージョンを計測するのか、特定のプランのみ該当するのかで難易度は変わります。

そのため、運営目的に応じて何をコンバージョンとするのか決めるようにしましょう。

1-2.どの期間のコンバージョンを計測するか

1人のユーザーが訪問してからコンバージョンに至るまでの期間についても定義づけが必要です。

GoogleアナリティクスとGoogle広告を例にするとわかりやすいかもしれません。

Googleアナリティクスでは、1回の訪問内でコンバージョンしたかを定義とし、CVRを算出しています。
例えば、1度目の訪問でコンバージョンに至ると、1セッション(1訪問)で1コンバージョンと見なします。

しかし、1度目の訪問ではコンバージョンせず、2度目の訪問でコンバージョンした場合、これは2セッションで1コンバージョンとみなされるのです。

一方、Google広告では、広告をクリックしてから30日以内であれば、1セッション1コンバージョンとして計測します。
9月1日に広告をクリックしたユーザーが、9月20日に広告内のサイトにてコンバージョンが発生した場合、「9月1日にコンバージョンが発生していると判断できる」として、9月1日にコンバージョンがカウントされるのです。

そうなると、GoogleアナリティクスとGoogle広告では、コンバージョンの計測期間が異なるため、混乱してしまう方も多いでしょう。

それぞれの計測期間を同一にする、あるいは異なる計測期間であることを把握しておくことが必要になります。

1-3.関係者での認識を正しく揃えておく

これまでの話をふまえると、コンバージョンの定義づけは複雑であり、データを正しく認識する必要があるとお分かりいただけたのではないでしょうか。
特にチームでCVRのデータを活用する場合、関係者間でコンバージョンの認識を揃えておかなくてはいけません。

まずは、自社内でのCVRの分母・分子となる数値を何にするのか決めておきましょう。
その上で、競合や同業の平均CVRを見る際に、自社と分母・分子が同じなのか、比較となるデータなのかを判断していきます。

2.目的や業種ごとのCVRの平均値(目安)

コンバージョンの内容や業種でも、CVRの平均値は変わってきます。
難度の高い目標はCVRが低くなり、ユーザーがアクションを起こしやすい目標であればCVRが高くなるわけです。

では、一般的にはどの程度がCVRの平均値になるのでしょうか。

2-1.商品・サービス購入・申込の場合

商品・サービス購入・申込の場合は、決済が発生するため、無料相談や問い合わせよりCVRの平均値は低くなります。

指標CVR平均値
広告のクリック数1~2%
ホームページのアクセス数0.1~0.2%

ホームページへのアクセス数を指標とした場合は、0.1〜0.2%となるため、多くの収益をあげるには、アクセス数増加の対策も行わなければなりません。

2-2.無料相談・問い合わせの場合

無料相談・問い合わせをコンバージョンとする場合、ユーザーがアクションを起こしやすくなり、CVRも上昇傾向にあります。

指標CVR平均値
広告のクリック数3~5%
ホームページのアクセス数0.3~0.5%

2-3.ホワイトペーパープレゼントの場合

情報やノウハウを詰め込んだレポートを無料ダウンロードできるようなホワイトペーパー系のCVRは、最も高くなります。

指標CVR平均値
広告のクリック数5%
ホームページのアクセス数0.5%

ホワイトペーパーは掲載側がメリットを与える形になるため、ユーザーのアクション誘導を起こしやすいのが特徴です。
そのため、広告クリック数だけでいうと5%以上のCVR平均値を出すことができるでしょう。

2-4.業界別の平均CVR

CVRは商材やコンバージョンのポイントをどこにするのかによっても変わりますが、業界によっても異なります。
また、年代によってもCVRが変わってくるため、これまで多くの会社が発表している統計データをまとめて見ていきましょう。

まずは、MarketingSherpaが2012年に発表した平均CVRです。

業界平均CVR
専門職・ファイナンシャルサービス10%
メディア・出版10%
教育・医療8%
ソフトウェア・クラウド7%
技術機器・ハードウェア5%
製造業・包装品4%
旅行・サービス業4%
小売・EC業3%
非営利組織2%
その他8%

参考URL:https://www.marketingsherpa.com/article/chart/average-website-conversion-rates-by

2012年時点では、専門職やメディア・出版系のCVRが最も高い数値を示しています。

では続いて、Contentsquareが発表した2021年の業界別平均CVRです。

業界平均CVR
買い物5%
美容・健康3.2%
ファッション2.6%
旅行2.4%
家電1.2%
金融1.0%
高級品0.8%
通信0.7%
BtoB0.6%
自動車0.4%
その他1.82%

参考URL:https://contentsquare.com/blog/2021-digital-experience-benchmarks-by-industry/

2021年になると、一般ユーザーの消耗品に関する広告やサイトへのCVRが高く、ECサイト事業の普及化が見られます。

最後に、WordStream社が2022年5月に発表したデータを見てみましょう。

業界平均CVR
出会い&パーソナルズ9.64%
法務9.64%
消費者サービス6.64%
自動車6.03%
雇用サービス5.13%
金融・保険5.10%
旅行・ホスピタリティ3.55%
教育3.39%
産業サービス3.37%
健康・医療3.36%
BtoB3.04%
テクノロジー2.92%
電子商取引2.81%
家庭用品2.70%
不動産2.47%
養護団体2.96%

参考URL:https://www.wordstream.com/blog/ws/2016/02/29/google-adwords-industry-benchmarks

それぞれの調査データで、業界をどのジャンルに分類するのかが曖昧なため、年度毎の推移としては少し信用性に欠けています。
ただし、現在のCVRの高さから、ユーザーのニーズの変化が見えてくるのではないでしょうか。

2-5.他社のCVRや平均値は参考程度に留めましょう

ここまで目的や業種のCVR平均値を確認してきました。
では、自社で目標とするCVRを設定する際、前年のCVRのデータがない場合には、ご紹介したような他社や統計上の平均値をもとに数値を決定していくことになるでしょう。

しかし、他社のCVRや業界の平均値は、指標とする基準や定義によって異なるため、あくまで参考程度にしかなりません。

業界ではCVRが2%とされていても、自社が定義する条件では1%がベストな場合もありえます。
そのため、他社のCVRや平均値はあくまで参考程度に留めておき、自社で定義づけた条件のもとで計測した数値から、改善策を打ち出していきましょう。

3.ホームページのCVRが低い理由

自社のCVRが目標とする値よりも低い場合、ホームページを改善していくことになりますが、改善するためにまずはCVRがなぜ低いのか、原因を考えていきます。

ここでは、一般的に言われている「CVRが低い原因」について解説します。
CVRは前記事でも解説しましたとおり、「SEOとWeb広告」に深く関係しています。

3-1.潜在ニーズを含む多くのユーザーに広告を配信している

まずはWeb広告についてです。広告のCVRが低い場合、打ち出す広告形式が潜在ユーザーに向けたものになっている点が考えられます。

例えば、リスティング広告は、すでに検索意図が明確になっている顕在ニーズを持つユーザーに配信可能です。

一方、ディスプレイ広告は、広告の情報を必要としないユーザーも流入するため、結果的に早めに配信が停止されてしまい、CVRが下がってしまいます。

3-2.市場の変化で需要が下がる

市場の変化によってもCVRが低くなるケースも考えられます。

季節によって売れ行きが変わるような商品や、一時的に需要が高くなる商品は、市場の変化に敏感です。
冬の季節にかき氷やアイスなどの商品が売れなくなるのをイメージするとわかりやすいかもしれません。

市場というのは常に変化し続けているので、長期的な視野でCVRが低くなる季節や年度を見極める必要もあるでしょう。

3-3.ユーザー目線が欠けている

コンバージョンをするには、ユーザーにCTAボタンに気づいてもらう必要があります。
CTAとは「Call To Action(コールトゥーアクション)」の略称です。

CTAボタンのサイズが小さい、色が目立たないなどでは、ユーザーに気づいてもらえずそのまま離脱されてしまう可能性もあるのです。

実際に、ユーザーがアクションを起こしやすいコンテンツの直下に、目立つようなCTAボタンを置くだけでCVRが改善した例もあります。

CVRは、ユーザー目線に立って考えることが非常に重要です。

3-4.コンバージョンまでの入力項目が多い

ユーザー目線が欠けている点に類似していますが、コンバージョンまでに入力項目が多いのも、CVR低下の原因になります。

せっかく商品を購入しようと申し込みフォームへ進んだはいいが、入力項目が多すぎて面倒に感じて離脱するケースも少なくありません。

3-5.間違ったターゲティングをしている

そもそも、ターゲティングを間違ってしまうとCVRは期待できません。

例えば、30代の男性向けに開発したスキンケア商品のランディングページなら、30代男性が使用している写真を採用するのが一般的です。
しかし、女性の写真を採用していたり、「スキンケア 30代」というワードでリスティング を出稿していたりすると、ターゲットユーザーに表示されない、表示されたとしても心に刺さらないページになってしまいます。

ターゲティングはCVRに大きく影響するので、CVRが上がらない場合はターゲットの属性に合った広告やホームページになっているか確認してみましょう。

3-6.競合の訴求力が強い

競合の訴求力が強いと、当然自社サイトのCVRも低くなってしまいます。
訴求力の強さは、ホームページを比較した後に、自身に最適な商品を購入するユーザーに影響します。

例えば、自社サイトよりも充実したサービスを提供する競合がいたとしましょう。
この場合、競合にしかないサービスを訴求ポイントとして強調されると、求めているユーザーにとっては競合のサービスの方が魅力的に感じてしまいます。
また、同じサービスなら価格帯が安い方を選ぶため、低価格を訴求されると自社の商品が購入されにくくなるでしょう。

ただし、訴求力の強さは自社にも同様のことがいえます。
自社にしかない強みを広告やページ内で提供できれば、CVRの上昇に期待ができるでしょう。

ここまで、CVRの平均値や、CVRが低い場合の原因について解説してまいりました。
次記事では、CVRをどのように改善していくのか、その改善方法について解説します。

次記事:CVR(コンバージョン率)とは③~CVRの改善~

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